建設業許可は行政書士でも人気のある業務ジャンルの一つです。
今後のメイン業務にしたくても、ハードルが高いと思っていませんか?
決算終了変更届は、コツをつかめば思っているよりも簡単です。 決算終了変更届をマスターすれば、建設業許可の全体の流れもわかります。
これまで200社以上の会社の建設業許可業務携わってきた経験を生かして、この記事を作成しています。 独立開業した行政書士が簡単に作成できるように、ポイントを絞って全てを網羅できるようにしています。
この記事では、わずか15分で決算終了変更届の書類作成がわかり、提出する準備をすることが可能です。 建設業許可業務をメイン業務にするために、まずは決算終了変更届をマスターしましょう!
受注から申請まで
建設業許可にも様々な手続きがあります。
- 新規許可
- 更新許可
- 各種変更届(決算終了、役員変更、経管変更、専技変更など)
この中で毎年必ず発生する手続きの決算終了変更届です。
さっそく見ていきましょう。
まずは建設業許可をざっくりと把握しておきます。
建設業許可を取得するには、
- 経営業務の管理責任者がいること
- 専任技術者がいること
- 誠実性があること
- 財産的基礎があること
- 欠格事由に該当しないこと
この要件を満たし、初めて建設業許可を取得できます。
許可を取得した建設業者は、毎年事業年度経過後の4ヶ月以内に決算終了変更届をしなくてはいけません。
(建設業法第11条変更等の届出)
2 許可に係る建設業者は、毎事業年度終了の時における第六条第一項第一号及び第二号に掲げる書類その他国土交通省令で定める書類を、毎事業年度経過後四月以内に、国土交通大臣又は都道府県知事に提出しなければならない。
その他、変更届はその変更の内容によって変更届の提出期日が異なります。
- 2週間以内 経管、専技の変更
- 30日以内 商号、営業所住所の変更
決算終了変更届の依頼を受けた際には、許可内容に変更がないか合わせて確認するようにしましょう。 例えば、役員変更の登記を3か月前にしたが建設業の変更届がなされていなかった場合、決算終了変更届と同時に届出することでお客様の負担も軽減されます。
建設業許可 決算終了届
事前準備
申請要綱の取得 都道府県の担当課のHPには、申請要綱(手引き)があります。
この手引きをダウンロードしてください。
この記事では、決算終了変更届の書類作成方法について記載していますが、 都道府県によって多少の取扱いが違う場合があります。
書式については、次の書類作成ソフトで対応が可能です。書類作成ソフトのダウンロード 決算終了変更届の書式は都道府県の担当課HPからもダウンロード可能ですが、 経営状況分析機関でダウンロード可能な申請書作成ソフトを使用すると楽に作成ができます。
分析機関 | URL |
(一財)建設業情報管理センター | http://www.ciic.or.jp/ |
ワイズ公共データシステム(株) | https://www.wise-pds.jp/ |
(株)ネットコア | https://www.netcore.co.jp/ |
(株)経営状況分析センター | https://mfac.co.jp/ |
(株)建設業経営情報分析センター | https://www.ciac.jp/ |
ちなみに私は、ワイズの申請書作成ソフトを10年以上使っています。
必要書類の準備
お客様からお預かりする資料として、
- 決算書類
- 会社控えの許可書、変更届
- 決算期の工事経歴を確認する書類(契約書、請求書等)
- 委任状
- 健康保険等の加入状況がわかる書類(使用人数に変更がある場合)
これ以外にも許可内容に変更がないか合わせて確認するようにしましょう。 よくあるケースとして、
・役員変更している
・増資している
同時に必要な変更届がないか、しっかりとヒアリングをしてきましょう。
申請書の作成
変更届出書
書式の変更があることがあります。
専用ソフトを使っている場合は、ソフトの更新をすればあまり意識することはないでしょう。
ダウンロードして使用している場合は、最新版がないか毎回チェックしましょう。
押印は不要です。
都道府県によって書式に多少の違いがあります。申請する都道府県の様式を使用することをおすすめします。
代理申請の場合は、委任状が必要となります。委任状の書式は、都道府県の指定様式があればそちらを使用してください。
工事経歴書
主な完成工事について10件程度を記載します。
公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるものについては請負金額が税込み3500万円(建築一式工事の場合は、税込7000万円)以上の場合、配置技術者は工事現場ごとに専任のものでなければならない。とあります。(法第26条第3項)
したがいまして、請負金額が税込み3500万円以上の場合は営業所の専任技術者が配置技術者となることはできません。
経審を受ける場合と、経審を受けない場合で書類の記載方法の注意点も変わります。
直前3年の各事業年度における工事施工金額
直前の2年分については、前回申請の書類を参考に記載します。
初めて決算終了変更届を提出する場合は、許可申請書に添付している書類を参考にします。
財務諸表
(法人)
貸借対照表
損益計算書
完成工事原価報告書
株主資本等変動計算書
注記表
附属明細表(小会社を除く株式会社の場合)
事業報告書
(個人)
貸借対照表
損益計算書
決算終了変更届で使用する様式では、お客様が作成している決算書の記載科目と一致しないものがあります。
完成工事未収入金:売掛金から工事に関するものを振り替え
未成工事支出金:仕掛品から工事に関するものを振り替え
工事未払金:買掛金から工事に関するものを振り替え
未成工事受入金:前受金から工事に関するものを振り替え
完成工事高:売上高から工事に関するものを振り替え
完成工事原価:売上原価から工事に関するものを振り替え。
さらに材料費、労務費、外注費、経費に分類する組み換えが必要になります。特に完成工事原価の振り替えについては、内容をお客様から確認しておく必要があります。お客様によっては内容を把握していない場合があります。その場合は、ヒアリングにより按分します。
期首資本金:元入金
事業主借勘定:事業主借
事業主貸勘定:事業主借
事業主利益:控除前の所得金額
事業報告書は、株式会社のみ添付します。 都道府県のダウンロード様式がないことがあります。申請書作成ソフトには書式があります。
(変更があった場合のみ届出する書類)
使用人数
使用人の一覧
定款
健康保険等の加入状況
その他資料 都道府県によっては、指定の様式で添付を要するものがあります。 手引きを確認してみましょう。
・別とじ用紙
納税証明書
事業税の納税証明書(原本)を添付します。 都道府県税事務所で取得が可能です。納税証明書の書式に指定がある場合があるので、手引きを確認しておきましょう。
提出時の注意事項
申請窓口:都道府県の担当課(出張窓口や郵送受付ができる窓口もあります)
窓口時間:平日9:00~17:00
まとめ
お客様の工事内容や財務諸表について、ある程度知っておかないと難しい業務と感じる方もいます。
工事内容については、お客様からしっかりとヒアリングしておきましょう。
財務諸表については、初心者向けの書籍で勉強すると理解が早くなります。
建設業許可の決算終了変更届は、毎年必ずある業務です。
決まった時期に受注が計算できる業務ですので、ぜひ頑張って習得してください。
お客様とのコミュニケーションで継続される業務の1つですので、即連絡、即対応を心掛けて信頼される行政書士になりましょう!
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